Takagi Lab.

研究内容紹介

1.特定処理向けアクセラレータ

イジングマシンや機械学習など、特定処理に向けた計算を高速化するアクセラレータの研究を行っています。 FPGAは書き換え可能のハードウェアで、データフロー計算など従来の計算機とは異なる計算が得意です。 FPGA向けの設計はハードウェア記述言語による設計だけでなく、現在では高位合成による設計も可能となっており生産性が高まっています。 また、元々はグラフィック処理用のプロセッサであるGPUは、その驚異的な並列性の高さから、現在ではGPGPU (General-Purpose computing on GPUs)と呼ばれるように汎用的な計算に使われ、多くのスーパーコンピュータにも搭載されています。GPUのための計算を記述するには、C/C++を拡張したCUDA C/C++という言語を用いて、GPUのアーキテクチャを考慮した上でプログラミングを行います。さらに最近世界的に再注目されている光コンピューティングは、AIアクセラレータとしての用途が検討されています。

2.FPGA実現向きアルゴリズム

書き換え可能のハードウェアデバイスであるFPGAは組込みシステムで用いられるだけでなく、コンピュータの計算アクセラレータとしても用いられるようになってきています。今後はマイクロプロセッサ内に再構成可能な計算アクセラレータとして内蔵されることも考えられます。研究室では、FPGA上での実現に適した種々の関数計算のアルゴリズムの開発、FPGAを用いた画像認識処理の高速化、非ノイマン型アーキテクチャであるデータフローコンピューティングに基づくFPGAクラスタ上でのベイジアンネットワークの学習等の研究に取り組んでいます。また、信号処理等のソフトウェアのプログラムから、FPGA回路を自動合成する技術の研究を行っています。

3.並列計算機の相互結合網

単一の計算機の性能向上が困難になって以来、メニーコアプロセッサ、データセンタ、スーパーコンピュータなどの並列計算機構に基づいたコンピュータが主流となってきました。このような並列計算機においては、計算ノード間のデータ通信を担う相互結合ネットワークが性能を決定づける鍵の一つといえます。研究室では、相互ネットワークのルータアーキテクチャ、トポロジ、ルーティングアルゴリズムの三つの視点から性能を向上させる手法を研究しています。また近年、三次元積層技術を使いメモリとロジックを組み合わせたメモリキューブという次世代メモリが注目されています。ロジック層でスイッチングを行うことにより、パケット通信ネットワークを構成することによって、大規模かつ高速なメモリシステムを実現することができます。最近の研究室では、膨大なデータの移動が重要となるデータ駆動社会に向けて、メモリネットワークの研究を行っています。

4.超伝導コンピュータ、超伝導回路設計技術

超伝導デジタル回路技術は、半導体CMOSデバイスとは異なる新しい回路技術です。半導体回路では実現困難な超低消費電力、高性能計算を実現する超伝導コンピュータの実現を目指して、超伝導コンピュータのアーキテクチャ、種々の超伝導論理回路の研究を行っています。超伝導単一磁束量子 (SFQ) 回路はパルス論理で動作するため、従来のレベル論理とは異なる回路構造が必要となります。これまでに、超伝導 SFQ 回路を用いた、ビットシリアル/ビットスライス方式に基づくマイクロプロセッサや演算回路を設計し、試作チップの動作実証を行ってきました。また、超伝導回路向けの設計手法の研究も行っています。超伝導回路特有の性質により、回路設計の多くの段階で専用の設計アルゴリズムやツールが必要になります。研究室では、論理設計、タイミング設計、配置配線設計手法を開発し、設計ツールの実現に取り組んでいます。